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 病気の分類にICD(国際疾病分類)というものがあります。元々は1900年前後に死因統計のために作られた分類で、約10年単位で見直しされており、現在のバージョンは11です。AからスタートしてZまで分類されており、はじめのA00~B99が感染症です。A00のコレラから始まります。
 現在、パンデミックが起き、大きな話題になっている新型コロナウィルス(COVID-19)は、感染症に分類されます。ICDが考案された時代背景もありますが、その当時まで多くの人類の命を奪ってきた疾病が感染症だったため、感染症がICDのスタートのAに分類されているのです。
 過去に多くの人命を奪ってきた感染症に分類され、実際に多くの方がお亡くなりになっているコロナウィルスであるため、WHOは敏感に反応し対策が必要であると警告し、国や都道府県は重大性を理解し対策を立てているのです。
 この局面を、予防法(ワクチン開発)や治療法(薬)の確立、集団免疫獲得などで乗り越えないといけません。しかし、企業はその中で社員を守りながら活動しなければいけません。
 社員を守るためには、人との直接的な接触を少なくし感染リスクを下げる必要があります。そのためにはテレワークの環境整備は重要事項です。いつまでこの状況が続くか変わりませんが、ここ数か月ででてきたテレワークに関する課題を3つに分類し、その解決の方向性を考察しました。

1.IT環境のよくある課題

・ソフトウエアやファイルへのアクセスが社内ネットワークからのみに制限されている。
 - サーバーが社内ネットワークにあり、外部からアクセスできない
 - クラウドサービスにもかかわらず、セキュリティ対策のための固定IPからの
アクセスに制限されているため、社外からアクセスできない。
・社員にテレワーク環境を提供できるほどのシステム基盤や機器が整備されていない。
 - 各社員にリモート作業用IT機器(PCや通信機器など)の貸与ができない。
 - VPN接続などの外部からの接続環境が十分に準備できていない。
 - 複数のWEB会議に耐えられないなど社内ネットワークの帯域が不十分。

 これらを解決するためには、費用と手間をかけるしか手段はありません。一部は助成金などを活用して整備ができる可能性があります。できる範囲でIT環境を継続的に整備することをお勧めします。また、状況によっては、職種や社員数を限定すればテレワーク環境の提供が可能で、明日からでも対応ができることもあるでしょう。

2.業務上のよくある課題

・承認のためのハンコが必要であるので出社しないといけない。
・取引先とのやり取りを電話・FAXでやっているため、出社しないと業務ができない。
・セキュリティポリシー上、業務を社外でできないことになっている。
・社外で作業はいけないルール(雰囲気)がある。
・在宅勤務をどのように管理すればいいかわからない
 - 勤務時間の管理が適切にできない。
 - 部下の教育やサポートが適切にできない。
 - 指示の追加や変更など、融通が利かない。

 システム投資が必要と勘違いしてしまう課題がありますが、費用をかけずにルール変更で解決できる課題も多く含まれます。ルールを変え、意識を変え、浸透させるには、とても労力がかかりますが、明日からでもルールは変えられます。組織のリーダーの力が試されるところです。

3.各社員の環境に関するよくある課題

・そもそも自宅にインターネット接続環境がない。
・インターネット接続環境があるものの通信量の制限があったり、通信速度が業務に耐えられなかったりしている。
・業務に使えるPCが自宅にない。
 - 私物のPCに業務に必要なアプリケーションがインストールされていない。
 - 私物のPCが業務を行えるセキュリティ水準を満たしていない。
・自宅で仕事ができる場所がない。
・および休園で子供のケアが必要になり、仕事ができない。

 プライベートへの干渉になってしまうため、解決は難しい課題ですが、BYODのルール化と促進が課題解決のひとつの手段です。(BYODとは「Bring Your Own Device」の略で、もともとは私物端末を職場に持ち込んで業務利用することを指しますが、ここではより広く、私物端末を業務に活用することを指します)また、特別な事情での在宅勤務に限り、柔軟な勤務時間の対応を検討するなどのルールを加えることも検討してもいいかもしれません。

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 さまざまな課題がありますが、できる範囲で、コツコツひとつひとつ対応してくしかありません。段階的な対応や部分的な対応は、社内から反発もあるかもしれません。しかし、一律に対応する必要はなく、やれる範囲から対応すべき状況です。
 テレワークの対策は、このコロナ禍では、社員を守ることになると考えます。今後、このコロナ禍でどのように対策をしたかは、社員を守る意識がある会社であるかどうかの評価軸になるかもしれません。

 

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2020年06月15日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

嶋田秀光