弊社メールマガジンで配信した「コンサルタントのつぶやき」です。
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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、今まで以上にネット通販を利用する方や頻度が多くなったと思います。?
ところで皆さんは、目当ての商品があってネット通販を訪れたが、必要ないものまで購入した経験はないでしょうか。
「今なら無料」、「追加で商品を購入すれば送料が無料」など、ネット購入をする際によく見かける「無料」という言葉には消費者の行動を促す大きな効力があります。私の場合、ECサイトにてある目当ての書籍を購入しようとカートに入れたところ、「もう一冊購入することで送料無料になります。」との案内が出てきて、つい必要もないのに選択肢の中で興味があるものを購入してしまった経験があります。結果として、必要以上の購入費用になってしまいました。
実際、Amazonのフランス支社では、一定額以上の注文で配送料を1フラン(日本円の20円程度)の値段に設定していましたが、無料に変更したとたん売上が劇的に伸びた経緯があります。
「予想どおりに不合理」(ダン・アリエリー著者)に記載されている、チョコレートの商売を用いた実験を引用します。
お1人様1個限りで2種類のチョコを販売した。
チョコレートの種類は
- ハーシーのキスチョコ(大衆的なチョコ)
- リンツのトリュフ(高級なチョコ)
2回の価格設定を行い、購入者の割合を調査した。
因みに、どちらのチョコも市場価格よりも安く設定している。
- 1回目の価格設定
- キスチョコを1セント、トリュフを15セントで販売した
⇒購入者の約73%がトリュフ、約27%がキスチョコを選択した。
- 2回目の価格設定
- キスチョコを無料、トリュフを14セント(どちらも1セント安くした価格)で販売した
⇒購入者の約31%がトリュフ、約69%がキスチョコを選択した。
※多くの購入者がトリュフを格安で手に入れる機会を棒に振ってしまった。
以上のように、自分が本当に求めているものではなくても、「無料」となると不合理にも飛びつきたくなります。たいていの商取引ではコストとそれに値するサービスを天秤にかける必要があります。しかし、何かが「無料」になると、私たちは天秤を忘れさり、「無料」であることに感動して、無料で提供されているものを実際よりずっと価値のあるものと思ってしまうものです。
消費者としては「無料」という言葉に惑わされぬよう、「無料による不合理な判断」を意識することが重要です。また、何が必要なのか事前に決断しておくことも大切です。
心当たりのある皆さんは、「無料」に惑わされないように意識してみてはいかがでしょうか。
2020年08月25日 (火)
青山システムコンサルティング株式会社
高柳充希