コラムカテゴリー:DX(デジタル・トランスフォーメーション)
記事の執筆

ディレクター長谷川 智紀
外資系コンサルティング会社および大手アパレル企業の情報システム部門で経験を積む。 システムを軸にした課題解決を多くの中堅中小企業に提案したいという思いから、 青山システムコンサルティング株式会社に入社。 クライアントに近い立場で業務改善を主軸にしたコンサルティングを行なっている。 その他、セミナーなどの講演活動も実績多数。
コンサルティングを依頼する理由
弊社はシステムのライフサイクル全般に対してコンサルティングサービスを提供していますが、
今回はシステム導入時に絞ってコンサルティングサービスが必要なタイミングを考えてみたいと思います。
おそらく、まずは自社内でシステム導入の検討を始めてから
コンサルティングサービスの利用を検討されることが多いかと思いますが、
弊社にご相談をいただくケースの一例が以下になります。
- システム導入に特別な要件がある
- 初めてシステムの導入を検討している
- 大規模なシステムの導入を検討している
- 短期間でシステムの導入をしたいと考えている
- システム導入に合わせて業務プロセスを改善したい
- 社内リソースを補完する必要がある
- 社内に専門知識を持つ人材が不足している
- システム導入のプロジェクトに専任者をアサインする余裕がない
ご相談をいただく理由は、当然ながら
「システム導入を成功させたいから(失敗したくないから)」です。
そのため、弊社に限らず依頼先には以下のようなことを期待します。
- 専門知識と経験
- 客観的な視点
- 効率的なプロジェクト推進
- プロジェクト全体のコスト削減
- 業務効率化
これらを依頼先から全て提供してもらえるなら安心です。
しかし、どんな企業でも外部に支払うコストは最小限に抑えたいですし、
予算も限られているのが実状です。
つまり、コンサルティングサービスに支払うコストも最適化しなければなりません。
そうすると、「依頼先に期待すること」ではなく
「依頼先に提供してもらうこと」を明確にして依頼内容を絞る必要があります。
システム導入のプロセスと失敗するケース
一般的なシステム導入は以下のプロセスを踏みます。
- 企画・準備
- 現状分析
- 社内ヒアリング
- 問題と課題の整理
- 目的の明確化と関係者への共有
- 要件定義
- 業務要件
- システム要件
- 情報収集
- RFI(情報提供依頼書)の作成
- 収集した情報の分析・整理
- ベンダー選定
- RFP(提案依頼書)の作成
- ベンダーとのQA
- POC(概念実証)
- 提案内容の評価
- 現状分析
- 開発・構築
- 現状分析
- システム設計
- システム開発
- テスト
- 導入・運用
- システム移行
- ユーザー教育
- 業務移行
- システム保守運用
- 評価・改善
- 効果測定
- 改善活動
本来は、現状分析からシステム導入後の効果測定まで見越して、プロジェクトを計画するべきです。
そして、各プロセスにおいて、どこまで自社のリソースで対応可能できるのか、
ある程度の見立てと覚悟をもって社内の役割を決めて、
コンサルティングサービスを含めた外部のリソースを頼る範囲を明確にします。
では、社内外のリソースを問わず、コストをかけるべきタイミングはいつなのか。
もちろん、全てのプロセスにおいて手を抜くべきではありませんが、
私がご相談を受けた経験としても「企画・準備段階」を十分に検討せず「目に見える効果」を急ぎ過ぎた結果、
システムで解決したかった課題が解決できなかった。というケースは少なくありません。
誤解を恐れずにまとめてしまえば、多くの場合は「システム導入自体が目的化すること」で失敗します。
「外部に支払うコストを抑えたい」「とにかく早く効果を刈り取りたい」というのは、
株主や経営者からのリクエストとして当然かと思いますが、システム導入のコストが無駄になれば本末転倒です。
どのタイミングで依頼すべきか
ここまでの話の流れで勘の良い方はお気づきかと思いますが、
私がお勧めする「コンサルティングサービスを依頼するタイミング」は「企画・準備段階」です。
このタイミングでは社内予算を確保しにくく、社内のリソースで急いで対応されることも多いです。
しかし、「導入するシステムはコレにします」という段階から
「円滑なシステム導入の支援」を依頼されると、上記の失敗ケースを避けられません。
私たちも「システム導入による効果」に向けて支援をしたいと考えていますし
、さらに申し上げれば「業績改善」に貢献をしたいと考えています。
できるだけ早いタイミングから一緒に検討させていただけますと、
より効果を見込めるシステム導入にすることができます。
まとめ
「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」というワードが独り歩きをしているせいなのか、
「とにかくデジタル化をする」「システムを新しくすれば業務が改善する」みたいな
考えを持たれている方も大勢いらっしゃいます。
しかし、課題に紐づかないデジタル化やシステム導入をしても効果を得ることできません。
人材の流動性も高まってきたこともあり、長期のシステム導入プロジェクトになると、
最初から最後までプロジェクトメンバーに入っている人がいないことも増えてきました。
そのような状況においても「何が課題で何を解決するためにシステム投資をするのか」
という目的が本質的に整理されていれば、そのプロジェクトがブレることはありません。
逆に、整理された目的があるのであれば、想定外の状況が発生したときにも、
そこに立ち返って意思決定をすることができます。
「企画・準備段階」のタイミングからコンサルティングサービスを活用して、
より効果的なシステム導入を実現していただければと思います。
2025年02月15日 (土)
青山システムコンサルティング株式会社