青山システムコンサルティングのコンサルティングコラムです

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発生した問題から真の原因を追究する「なぜなぜ分析」。
トヨタの事例として取り上げられたことで、
すっかり有名な手法となっています。

<なぜなぜ分析の例>
「工場の生産ラインが止まってしまった」
  なぜ?「生産ラインの回路のヒューズが切れた」
    なぜ?「生産ラインの回路に高電流が流れた」
      なぜ?「回路設計に問題があった」
        改善策「回路設計を変更する」

私たちがクライアントのシステムコンサルティングを行う際も、
顕在化している問題から真の原因を探り出すために、
「なぜなぜ分析」を活用しています。

この「なぜなぜ分析」、やってみるとなかなか難しいものです。
次の「なぜ」が出てこなかったり、逆に「なぜ」を挙げすぎて迷走したり。

今回のコラムでは、「なぜなぜ分析」を成功させるためのポイントを紹介します。

【ポイント1】 事前の準備はできていますか

さあ「なぜなぜ分析」をやってみよう!という前に、
やっておくべきことがあります。

「出発点となる問題について、出来るだけ事実関係を、整理しておく」

「なぜなぜ分析」では事実だけではなく、
「〇〇であったから(ではないか)」という仮説を挙げていくこともあります。
しかし、できるだけ事実に基づいて「なぜ」を掘り下げていかなければ、
空想的な「なぜ」の迷路に迷い込み、
真の原因に辿り着けないリスクが高まります。

余計なまわり道をしなくて済むよう、
 ・問題発生の過程、フロー(図や絵も有効です)
 ・問題発生の前提条件
を整理しておきましょう。

【ポイント2】 一つの「なぜ」に複数の事象を盛り込んでいませんか

<悪い例>
「人事情報管理システムが無く、
 人事情報は共有フォルダの複数のExcelで管理しており、
 人事総務部の更新作業は重複が多い」

ここには複数の要因が混在しており、
どこから次の「なぜ」を出せばよいか迷ってしまいます。

<良い例>
「人事総務部の更新作業は重複が多い」

一つの「なぜ」には、一つの事実または仮説を書きましょう。
要因を一つ一つなぜ、なぜと掘り下げていくことで、
問題発生の順序やメカニズムが見えてくるのです。

【ポイント3】 逆さに読んでも、話がつながりますか

「なぜ」から次の「なぜ」へのつながりが論理的に正しいか、
逆さにして「だから」でつないでみるとわかります。

<悪い例>
「セールのスーツの売り上げが上がらなかった」
  なぜ?「客層が若かった」
    ・・・逆さにすると・・・
「客層が若かった」
  だから「セールのスーツの売り上げが上がらなかった」

話が飛躍していますね。若い人たちもセールのスーツは買います。
以下のようであれば、話は通じますね。

<良い例>
「セールのスーツの売り上げが上がらなかった」
  なぜ?「客層が若かったのに、セール品は年配向けばかりであった」
    ・・・逆さにすると・・・
「客層が若かったのに、セール品は年配向けばかりであった」
  だから「セールのスーツの売り上げが上がらなかった」

【ポイント4】 並列のなぜは、十分ですか

<例>
事象「実在庫とシステム上の在庫が合わない」
  なぜ1「受注・出荷の際に数量がずれる」
    なぜ1-1「ピッキング時に商品・数量を間違える」
    なぜ1-2「伝票の出荷数量を誤って入力する」

「なぜ1」の下に並ぶ「なぜ」は、この2つで十分でしょうか?

それをチェックするには、この2つがどちらも発生しなかった場合、
「なぜ1」は発生しないのかを考えてみます。

すると、
    なぜ1-3「在庫引落しのタイミングが出荷時でない」
    なぜ1-4「伝票を書かないで物を出荷する」
などの並列の「なぜ」が足りていないことがわかります。

【ポイント5】 なぜはどこまで繰り返すのか

よく「なぜを5回繰り返せ」と言われます。
では5回繰り返せば「なぜなぜ分析」は完了でしょうか?
それぐらい問題を深掘りしてみようという例えであって、
「5回」に特別な意味はありません。

なぜなぜ分析の目的は、
顕在化している問題から真の原因を探り出し、
その恒久対策やTobe(あるべき姿)を導き出すことです。

冒頭のトヨタのなぜなぜ分析も
「生産ラインの回路のヒューズが切れた」で終わってしまえば、
とりあえずヒューズを取り換えることで一時的に解決しますが、
「真因」に対処しない限りまたラインが止まることになります。

見つけ出すべきは、それに対処すれば、
 ・問題が発生しなくなる
 ・問題が発生しにくくなる
 ・問題が発生しても気づくことができ、被害を抑えられる
といったことができる「真因」です。
そこに辿り着くまで、なぜを繰り返してみましょう。

以上、「なぜなぜ分析」のポイントを紹介させて頂きました。
今まで行ったことがない方も、
これを機会に社内の改善活動などに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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2015年11月16日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

山口 晃司