デジタルプラットフォーム取引透明化法って?

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東京都等では緊急事態宣言が延長され、しばらくは重点的な感染拡大予防のための取り組み継続が必要になりそうです。

前回の春の緊急事態宣言の真っ最中に議論され、昨年5月に成立した「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(デジタルプラットフォーム取引透明化法)」が今月1日から施行されましたが、ご存知でしょうか。
法の成立のタイミングでは、初めての緊急事態宣言が解除されるかどうかという時期で世間の注目もそちらに向いていたということもあり、この法の成立についてあまり意識されてなかった方もいると思いますので、簡単にご紹介します。

この法律はその名の通り、デジタルプラットフォームにおける取引の透明性と公正性の向上を図るための法律です。

経済産業省 > デジタルプラットフォーム
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/digitalplatform/index.html

巨大IT企業がプラットフォーマーとして市場を寡占化するなかで、プラットフォーマー側が利用事業者に送料一律無料とすることを一方的に求めたり、値引き分の補填を取引業者に強いるといった、優越的な地位を濫用しての不公正な事案が発生していました。
このような状況を是正すべく制定されました。

本法にもとづいて経済産業大臣が、事業区分・売上や利用者の規模等により「特定デジタルプラットフォーム提供者」を指定し公表します。
ECサイトやアプリストアの運営事業者が対象として想定されます。
「特定デジタルプラットフォーム提供者」は、各種情報の開示や報告書提出等が求められます。
それにより、取引の透明性を高め、公正な取引を浸透させるのが狙いです。

ただ、上記ページにも「自主的かつ積極的な取組を基本に、国の関与等を必要最小限のもの」とする旨が記載されているように、制裁金を課すなどで規制を強化する欧米と比べると、自主性に重点が置かれています。
その背景には、技術革新を阻害しないようにという想いがあるようです。

社会インフラとしての側面もある「特定デジタルプラットフォーム提供者」が、その社会的役割を自覚し、自主的に取り組むことが期待されます。
対象となることが想定される事業者では、取引条件を規約に明記する等、既に取り組みを開始しているところもあります。

デジタルプラットフォームを利用する事業者や一般消費者も、こういった法律があり情報が開示されていることを知っておくと、自身が利用するにあたっての適正な判断の材料になります。
また、我々ITコンサルティングに携わる者も知っておくべき内容です。

個人的には、法の運用にあたり恣意的にならないような体制のもとで、効果的に運用されることを期待しています。
また、「特定デジタルプラットフォーム提供者」に非効率な業務を強いることになると、社会全体として生産性を下げるようなことにもなりかねないので、そのバランスをとることも求められると考えます。

この法律には附則として、3年後を目途に見直しを検討する旨が書かれています。
このことからも、本法律については改善を図りながら、よりよい運用を目指していこうとしていることがうかがえます。

試行錯誤しながらになるかもしれませんが、実効性を確保して取引の透明性を高めつつ、対象企業に過剰な負担をかけないバランスの取れた仕組みになるように、見守りたいと思います。

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2021年02月22日 (月)
青山システムコンサルティング株式会社
十亀淳