結局、ITシステムをどうすればよいのか

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2015年に出版した
『業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革』幻冬舎 (2015/9/18) より
書籍内のコンテンツをタイトルごとに公開いたします。

コンテンツの最後に、コンサルタントのコメントを追加しておりますので、合わせてご覧ください。


P.44~

第1章 ソフト更新、業務フロー変更 ── 絶え間なく見直しを迫られる社内システム

結局、ITシステムをどうすればよいのか

ここまで述べてきたように、ITシステムには長所もあれば短所もあります。

しかし、現実問題として、企業はすでにシステムなしにはビジネスができない状況にあります。

パソコンを含めて、何らかのITシステムをまったく使用していない会社など皆無といっていいでしょう。

どんなにITシステムに問題があったとしても、電卓で計算して手書きで管理会計や財務会計を行っていた時代には、私たちはもう戻れません。ケータイやメールなしでは、ビジネスが成り立たないことと同じです。

そもそもITシステムには、ビジネスにおけるモノやカネなどの資源の流れを明らかにして、業務効率を高めるという大きなメリットがあります。ビジネスの目的からいっても、システムを手放すことは、もはやできません。

では、どのようなITシステムが最も良いのか。

これもまた難問です。

いくらレガシーシステムが使いやすかったといっても、今さらレガシーシステムに戻ることもできません。オープンシステムに比べて高くつきすぎますし、メーカーの選択肢も限られています。現在のところ、私たちにできるのは、よりましなオープンシステムを探し続けていくことだけです。

では、どうすればよいのでしょうか。

まず、どの企業も、すでに使っているシステムがある以上、それを本当に新しく入れ替えるほうがいいのか、それとも、多少の手直しをしてでも使い続けるほうがいいのかを判断しなければなりません。

判断のポイントはいくつかあります。

第一に、現在のシステムに不満がないかどうかです。もしもまったく不満がないというのであれば、それが10年前のシステムであっても、流行に流されずに使い続けてもらって構いません。しかし、不満があって、改善の余地があるのであれば、システムの刷新は検討事項になりうるでしょう。第二に、サポート体制が十分かどうかです。すでに述べたように、ITシステムというものは、サポートとメンテナンスをメーカーに依存しています。もしも開発メーカーが倒産したり、バージョンアップによってサポートを打ち切ったりするようなことがあれば、早急にシステムの入れ替えを考えるべきです。

ビジネスでは、何か事が起きてからでは手遅れになります。たった一日システムが止まるだけで、何百万円、何千万円もの損害をこうむる企業も少なくないでしょう。

第三に、新しいシステムによって実現可能になることを積極的に求めるかどうかです。古いシステムのままでも従来どおりの仕事ができますが、新しいシステムにはそれなりのメリットがあります。たとえば、センサーを使った自動入力システムで入力の手間を省いたり、IFRS(国際財務報告基準)に対応していたり、などの利便性を受けることができます。

もしも新システムへの入れ替えで、やりたいことが実現するということであれば、積極的に設備投資してもいいでしょう。あまり業績に貢献することがないと考えられがちなITシステムですが、攻めの投資をすることで、業務効率を高めて利益率を高めたり、在庫を減らすことでキャッシュフローを潤沢にしたりすることもできます。

いずれにせよ、ITシステムの改革が必要だと考えているのであれば、ためらうことはありません。必要であれば投資を行い、必要がなければムダを省くのは、どのようなビジネスにも通用するルールです。

ITコンサルタントのコメント(2022年3月1日)

ITシステムへの投資判断をする上で、幾つかの判断のポイントを提示しましたが、特にペーパーレス化が強く推進されている近年においては、判断のポイントの第一である「現在のシステムに不満がないか」は、「誰にとって」という視点も留意すべき点です。

現在利用しているITシステムの導入時の想定は、システム入力を担当する専任従事者もしくは限られた人数の入力担当者が、想定されるシステムユーザーであった場合が多いかと思います。しかし近年では、帳票印刷等もせず、ITシステム内で管理も含め全ての業務を完結する場合、閲覧のみのユーザー及び軽微な入力と閲覧のみのユーザーの視点においても大切です。

そのために、判断の前段階として、現在の利用者と、今後利用するであろう利用者の網羅性に注意しながら、「現在のシステムに不満がないか」というポイントに対する調査・分析をし、その結果を投資判断の材料とすることを強く推奨します。


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