在庫がきちんと管理できていないと何がまずいのか

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2015年に出版した
『業務効率UP+収益力UP 中小企業のシステム改革』幻冬舎 (2015/9/18) より
書籍内のコンテンツをタイトルごとに公開いたします。

コンテンツの最後に、コンサルタントのコメントを追加しておりますので、合わせてご覧ください。


P.193~

第4章
「To Beモデル」のシステム構築&改修で、業務効率・収益力を向上させる

在庫がきちんと管理できていないと何がまずいのか

(1) 在庫管理精度上の問題点

T社では、在庫の増加がさまざまな問題の原因となり、さらに在庫が増加するという悪循環が生じていました。その要因は、システム上の問題、業務手続き上の問題、制度上の問題のいずれもがからみ合っています。

最も大きな問題点は、システム上で在庫が把握できないことでした。

在庫管理システムがあって、入力を行っているにもかかわらず、正確な在庫がシステム上で把握できないことから、いつも余裕を持って多目に在庫を抱え込む体質ができてしまったのです。

また、業務手続きや制度上の問題として「商品と品番体系とのミスマッチ」「同一商品での複数品番付与」「商品原価の評価法」「営業担当者の評価基準」なども挙げられます。

(2) 在庫が増えることの問題点

卸という業態にとって、一定量の在庫は必須です。しかし、必要以上に在庫が増えると、以下のような問題が発生します。

①在庫維持費用が増加する

  • 出し入れの手間がかかり、人件費等の管理費用が増大します。
  • 棚卸業務の時間がかかり、それに伴う費用も増大します。
  • 在庫を社内で管理ができず、外部の保管施設が必要になります。
  • ②借入金の増加

  • 仕入れのための借入により金利を多く支払うことになります。
  • 資金繰りの圧迫によって支払い方法が限定され不利な仕入れになります。
  • 在庫維持費用の増加によって、借入金がさらに必要になります。
  • ③不良資産が増加する

  • 長期滞留在庫に流行遅れが生じて、売れなくなってしまいます。
  • 品質の低下、保管中の破損等により廃棄処分になることがあります。
  • 新たな商品を仕入れられず、新商品販売のチャンスを失うことがあります。
  • ITコンサルタントのコメント(2022年12月26日)

    適切な在庫管理ができていないことでの問題点は、現在でも同様です。

    在庫管理に活用できるITシステムも充実してきていますので、それらをうまく活用できている企業とできていない企業とでは、競争力にもますます開きがでるでしょう。

    RFIDタグの低価格化やIoTを活用した在庫管理システムの登場など、関連する動向も踏まえながら、自社に適したシステムを活用しましょう。
    また、適切に在庫を管理するためには単にITシステムを導入するだけでは必ずしも十分ではないことは本書で指摘した通りです。適切な運用がなされてはじめて有効に機能します。
    棚卸の作業負荷軽減や、在庫照会の利便性向上など、利用者それぞれがメリットを感じられることを伝えながら、適切な在庫管理の仕組み(システム)を検討されることをお薦めします。

    本書で指摘した「(2)在庫が増えることの問題点」への対応としては、需要予測の精度を上げて在庫を削減することも選択肢となります。
    昨今では、需要予測精度向上に活用しうるビッグデータ基盤や、AI技術も進歩しています。需要予測の精度を上げれば、バッファ在庫を減らすこともつながります。

    適切な在庫管理の仕組み(システム)をうまく活用し、在庫削減、生産性向上を目指してください。


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