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Windows7の延長サポート期限2020年1月14日まで、約2年半となりました。

デスクトップ端末におけるWindows7のシェアは2017年6月時点で約50%と高く、多くの企業で業務利用されています。
しかし、延長サポート終了後はセキュリティ更新プログラムの提供が行われなくなるため、セキュリティ上のリスクが高まります。
そのため、業務利用し続けるのは難しくなります。

過去にも「XP対応後も必要となるOS変更対応」と題してコラムを配信いたしましたが、あらためてWindows7の延長サポート終了への対応を考えてみます。

まず移行先の環境ですが、多様なデバイス、OSが普及していることを考えると、Windows OSを採用する必然性は以前よりは低下しています。
とはいえ、デスクトップOSとしてWindows7からの移行を考える際の主要な候補としては、やはりWindows10が挙げられます。
そこで、本コラムではWindows10への移行に際して考慮すべき事項をご紹介いたします。

Windows10は「最後のWindows OS」ともいわれています。その背景にはMicrosoftによる「Windows as a Service」という、OS環境さえも「サービス」として提供するというコンセプトがあります。
具体的には、アップデートがこまめに提供され、継続的に機能強化されていく仕組みとなっています。

Windows OSとしてのメジャーバージョンアップが最後となるので、「最後のWindows OS」というわけです。今後はWindows OSサポート終了対応としての大規模なシステム移行は不要となるかもしれません。

しかし表現を変えると、大規模なバージョンアップがなくなる替わりに、こまめなアップデートを繰り返す必要があります。したがって、効果的にアップデートできるようにアップデートポリシーを策定しておくことが、肝要となります。

Windows10の更新プログラムを提供するサービスオプションには以下があります。

サービス オプション 概要 対象エディション
Current Branch (CB) 最新版を自動適用。 Home/Pro/Education/Enterprise
Current Branch for Business (CBB) 最新版を4か月遅れで適用。適用時期の延期設定も可能。 Pro/Education/Enterprise
Long-Term Servicing Branch (LTSB) 機能更新なし。
更新プログラム(パッチ)適用のみ。
Enterprise LTSBのみ

※上記以外に、Insider Preview ビルドとして、開発中の更新プログラムがシステム管理者や開発者向けに提供されます。こちらは、リリース前に既存のアプリやインフラとの互換性を検証し、Microsoftにフィードバックすることを目的としています。

 

検証が必要な業務アプリケーションがどれくらいあるか、どのような検証をするのか、そのために必要な期間がどれくらいか、等をもとにアップデートポリシーを策定し、どのオプションを採用するかを検討しておく必要があります。

上表のとおり、Homeエディション以外ではCBとCBBのいずれも選択でき、設定で切り替えることができます。現実的には、CBでは最新版に強制的に更新されてしまうので、業務アプリケーションの動作検証が必要な場合には採用しにくいでしょう。
そのため、業務アプリケーション利用がある場合にはCBBもしくはLTSBが選択肢となります。

LTSBはミッションクリティカルなシステム(通常、Officeソフトを使用しないような医療装置やATM機器制御等)での利用をMicrosoftでは想定しているようです。しかし必ずしもミッションクリティカルな用途でなくても、Windows 10の機能追加が不要で、安定性に重点を置くならば適しています。Enterpriseエディションのみで、通常のWindows 10 Enterpriseとは別のインストールメディア、プロダクトキーで導入することになりますが、機能更新のためのSoftware Assurance(SA)が不要となるため、利用形態によってはコスト面でのメリットが出る可能性もあります。

上記をご参考に、アップデートポリシーの事前策定と、それを実現するためのエディションの選定をされることをお勧めいたします。

なお、ある調査では、延長サポート終了の1年前時点でのWindows7残存率は、WindowsXPの延長サポート終了1年前時点よりも高いと予測されています。
その場合、最後の1年に社会全体で移行が急ピッチに進むことで、PC買い替え需要が短期間に集中する可能性が指摘されています。PC供給にも影響が生じ、通常の納期でPCが調達できなくなる懸念もあります。

まだWindows 7からの移行検討が進んでいない場合は、延長サポート期限まで「まだ2年半もある」と考えるのではなく、「あと2年半しかない」と考えて、早めに移行計画をご検討されてみてはいかがでしょうか。

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2017年07月17日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

十亀淳