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2023年の「新語・流行語大賞」のノミネート語のなかに「2024年問題/ライドシェア」というものがありました。
2024年4月以降はドライバーにも時間外労働時間の上限が適用されることで、物流・運送の担い手が不足すると予想されています。
その解消策の1つとしても「ライドシェア」が注目されています。

しかし日本では法規制もあり実現にはいくつかのハードルがあります。2015年にはUberが一部の地域でライドシェア(一般ドライバーと乗りたい人のマッチング)サービスを開始しましたが行政指導によりすぐにサービス休止に追い込まれています。

そのような状況のなかで、何をどう解消しうるのかが気になり調べていたら「規制のサンドボックス制度」というものを知りました。

「規制のサンドボックス制度」は2018年6月に生産性向上特別措置法に基づき制度が創設され、2021年6月から産業競争力強化法に移管・恒久化された制度です。

大まかにいうと
“まずはやってみよう!“
というスタンスで規制にとらわれずにいろいろと試してみようという制度です。

目指す新技術・新事業、規制との関係が問題となる場合
 ↓
期間や参加者を限定し「実証」を行う
 ↓
実証でデータを集め、それを基に規制改革に繋げる

という「市場との対話・実証による政策形成」を目指している制度です。

参考:「規制のサンドボックス制度(新技術等実証制度)について
※「規制のサンドボックス制度」とは別に国家戦略特別区域法による地域限定型サンドボックス等もありますが、ここでは詳細説明は割愛します。

 

ITコンサルティングの業界にいる身としては「サンドボックス」というと、セキュリティの文脈などで用いられる隔離された環境を思い浮かべます。
その場合は、ユーザが利用する環境等に影響を与えず、サンドボックス(砂場)の枠のなかだけで安全性を確認・検証してその中のみに影響をとどめられるというような環境を意味します。

「規制のサンドボックス」については、日本全体・社会全体には影響を与えないように、期間や参加者を限定したサンドボックス(砂場)の枠のなかだけで実証実験を行う取り組みということで名付けられたと思われます。

影響範囲を限定した枠のなかだけで、“まずはやってみよう!”という発想が、従来の日本社会にはあまりなかった発想だと思います。

従来は、「行政は間違わない」「現行の制度や政策は正しい」と考える行政の無謬性という考え方がありました。
しかし環境が変化していくなかで常に正しいというものはなく、時宜を得た制度をとり、必要に応じて見直していけばよい、という考えがようやく広まってきたのだと考えられます。

まだ全体からすればごく一部であろうと思われるものの、政府においてもこのような動きが出てきているというのは社会を変革していくのにふさわしい潮流だと感じます。

日本においては民間企業でも「前例がないから動けない。」というような話を見聞きしますが、それでは革新的な事業展開はできません。
【お役所仕事】の総本山ともいえる政府でさえも「規制のサンドボックス制度」のように「まずはやってみよう!」という姿勢を示している時代です。
環境変化の著しい現代においては民間企業でも「まずはやってみよう!」というスタンスで取り組んでいくスピード感が重要です。

最後になりますが、やってみたいことがあるが規制があって躊躇しているという場合には、「規制のサンドボックス制度」を担当している内閣官房の一元窓口に相談してみるのも一案です。
包括的に相談を受け付けてくれ、「規制のサンドボックス制度」に限らず、他の規制改革手段も含めて案内してくれるそうです。

貴社のその第一歩が、日本全体の規制改革につながるかもしれません。

 

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2023年11月11日 (土)

青山システムコンサルティング株式会社

十亀淳