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はじめに

DXレポートでは、基幹系システムが肥大化・ブラックボックス化で柔軟性の欠けるレガシーシステムになっており、DXの障害となっていると指摘されています。
また、肥大化・ブラックボックス化してしまったのは、独自のカスタマイズを繰り返したことが要因とされています。

DX時代は同じ失敗を繰り返さないために、競争領域に該当しないシステムはパッケージソフトウェアやSaaSを利用し、独自のカスタマイズを抑える事が望まれます。

ただ、多くカスタマイズしたのはそれなりの理由があったはずですが、DX時代であれば抑えることができるのでしょうか。

日々のITコンサルティング業務を通して、基本的な事を疎かにすると失敗を繰り返すと感じます。今回のコラムでは、事例を踏まえ、基本を復習していきたいと思います。

必要なカスタマイズの見極め

独自のカスタマイズを抑えるには、まずは自社の業務に適合した製品・サービスを選定するのが大前提ですが、「選定後の導入フェーズ」でも考慮すべき重要な点があります。

※自社に適した製品・サービスの選定方法については、下記を参照
 弊社参考コラム:ベンダー選定のコツ

導入フェーズで十分に実施できていないケースが多く、私が重要と考えるのは、「必要なカスタマイズの見極め」です。見極めが不十分であると以下のような問題が発生します。

  • 現場業務に引きずられ、カスタマイズ量が増加してしまう
  • 競争優位のための機能が削られてしまう

上記を防ぐには、ユーザー企業側のプロジェクト担当者が経営的な視点で、カスマタイズの見極めの方針を定め、関係者(経営層、現場担当者etc)と認識を共有する必要があります。

例えば、以下のように業務を分類しカスタマイズ方針を定める方法があります。
(プロジェクトの特性により適切な分類方法は異なります)

業務の再設計

「パッケージに合わせる」方針で事前に合意した業務でも、実際の画面を見ながら要件を確認する具体的なフェーズになると、現場担当者から「これでは業務が回らない」といった声が上がり、結局カスタマイズ量が増大するケースが少なくありません。(ノンカスタマイズで強行し使われなくなるケースもあります)

これを防ぐには「パッケージ標準機能を活用した業務再設計」が必要ですが、現場の担当者にとっては以下のような理由から、難易度の高い作業と言えます。

  • 現行業務プロセス・ルールの前提で、標準機能での運用可否を判断してしまう。
  • 製品知識が不十分なためイメージが沸かない。要件定義フェーズで習得する時間も無い。
  • 業務再設計や組織・体制変更の権限が無い。

業務再設計は製品知識が必要な事から、ベンダーに期待してしまうケースが見受けられますが、現場の業務の知識が十分にあるわけではなく、組織や体制にまで踏み込んだ提案が難しいため、ユーザー企業側で行う必要があります。

プロジェクト体制によりますが、業務再設計を適切に行えるのは、ユーザー企業側のプロジェクト担当者です。プロジェクトの目的を把握しているため経営的な視点で推進できるからです。
不足している製品知識をキャッチアップしながら、現場業務に深く入り込み、組織や体制変更のために現場の上長へエスカレーションを行い、再設計を行います。

再設計では、ドキュメント上の検討では実現可能性の見極めが困難な場合、PoC(※)で見極めた上、プロジェクトを進めます。
※PoC(Proof of Concept:概念実証):試作品を作り実際に動作させることにより、実現可能性や期待効果等を検証する

なお、業務再設計では、第三者的な立場で参画する外部のITコンサルタントの活用は有効な手段です。

様々な企業の業務や製品特性の知見がある事からキャッチアップが早いため、プロジェクト担当者の不足知識を補完し、よりスムーズに業務再設計を遂行できるようになります。
また、パッケージでの実現が困難な要件に対し、RPAやローコードツールといった、パッケージ外での代替手段の助言が得られる事も大きなメリットです。

知識のカバー範囲のイメージ

最後に

上記で説明した内容は基本的で目新しい部分はありませんが、実行が不十分であると失敗を繰り返す事になります。

今後システム導入の機会があれば、コラムの内容も留意し、DXを支援するシステムを実現していただければと思います。

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2022年09月16日 (金)

青山システムコンサルティング株式会社

池田洋之