コラムカテゴリー:ITコンサルティング, 情報戦略/業務改革
【はじめに】
私たちも反省すべきお話でもあるのですが、
コンサルタントから受け取ったレポートやコンサルティングサービスが、
「あまり役に立たなかった」という話を聞いたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
もしかしたら、ご自身の経験としても、
うまく活用することができなかった方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方々にお話を聞くと、
レポートやコンサルティングサービスの結果を使った具体的なアクションをとらずに、
社内で使用する資料に組み込んだだけだったり、
単純なリサーチに留めてしまっていることがほとんどです。
コンサルタントからの納品物は、使用してこそ価値があるので、
「高価な情報整理」で満足してはいけません。
では、どうすれば価値のあるアクションをとることができるのでしょうか。
【アクションにつながらない理由】
そもそも、コンサルタントからの納品物を受け取った後に、
アクションにつながらないのは、何故なのでしょうか。
それは、「成功を定義できていない」ことに他なりません。
少なからずコストをかけて発注し、その効果として何を実現できれば成功なのか、
当初から決めていれば、納品物を受け取った後にアクションを起こさないはずがありません。
当たり前のことだと思われるかもしれませんが、意外とこれができていないのが実態です。
例えば、「現場をデジタル化してくれ!」という表面的な言葉だけを社長が社員に伝えた場合には、
社員からのコンサルタントへの依頼は
「弊社のデジタル化ができる業務がどこなのかレポートを作成して欲しい」とか
「他社で効果が出ているデジタル化の事例を弊社でも実施するプロジェクトを計画して欲しい」といった
芯を捉えていないものになります。
この場合、残念ながらその結果を受けたアクションも表面的なものになってしまうことでしょう。
【意思決定のステップ】
私の経験的に意思決定のステップは、
1.Why → 2.Policy → 3.Target → 4.How to
という順番が良いと考えています。
<Why>
なぜコストをかけてコンサルタントに発注をするのかといえば、
そこに「達成したい何か」と「達成したい理由」があるからです。
それは事業を営む上で、現実的には課題に直結することではないかもしれません。
星野リゾートの代表である星野佳路さんは「同級生にバカにされないものをつくること」が、
事業を継ぐ上で考えていたことであると仰っていました。
ここまで事業の原始的な部分まで掘り下げる必要がないことも多いですが、
このレベルで「達成したいこと」、つまり「成功の定義」ができていると、
その後の意思決定でブレることが無くなります。
実際には、達成したい理由が明確に言語化されていないこともありますが、
少なくとも課題感はあるはずです。まずは、そこを整理し、どんな課題を解決したいのかを決めます。
<Policy>
課題の詳細を議論する前に、その課題をどこまで掘り下げて、どのレベルまで解決させるのか方針を決めます。
例えば、「社会的に信頼される会社になるために、製品の精度を向上させる」を課題とした時に、
「製品のエラー発生率を2年以内に10%改善する」などです。
このときの「2年以内に10%」という数字は、あくまで方針を表現したものなので、
数字に縛られたり、一人歩きしたりしないようにすることが重要です。
<Target>
このステップでは、何を対象に手を打って、課題を解決させるのかを決めます。
具体的な対象は「Policyで定義した内容の達成が期待できること」を基準にして選定します。
例えば、設計プロセスに手を入れるのか、品質管理のプロセスに手を入れるのか、もしくは両方に手を入れるのか、
ということを決めます。
<How to>
最後に、どうやって解決をするのか決めます。
例えば、業務フローは変えずに適切な人的リソースを投入できるように組織改変をするのか、
業務フローは大きく変えないがシステムを導入するのか、
抜本的に業務フローを変えてシステムを導入するのか、ということを決めます。
【順番が重要】
どこかのステップで行き詰まったときには、1つ前のステップに戻って検討をする必要があります。
もし、いきなり詳細の検討から開始すると、行き詰まったときに迷子になってしまいます。
また、上記の例で設計の部門と品質管理の部門が分かれていた場合、
Targetを決めずにHow toの議論を開始すると、
それぞれの部門の責任者同士が個別の利害を調整しようと駆け引きをしがちです。
もし駆け引きが始まったとしても、Whyで定義した成功が合意されていれば、
そこにつながるように議論を引き戻すことができます。
【実行者にも成功の定義を伝える】
最終的にHow toを進めていく段階になると、例えば「システムを導入する」という手段だけが実行担当者に伝えられて、
「なぜシステムを導入するのか」ということが現場の人が知らないというケースは少なくありません。
このような状況で、実行担当者に当事者意識や達成責任を求めても難しくなります。
そうすると、当然のことながら、その後のレポートやコンサルティングサービスを活用したアクションにつながりません。
うまく進めるポイントは、実行フェーズにおけるキーパーソンを早いタイミングで意思決定に巻き込んで、
「成功の定義」を理解してもらうようにすることです。
大きな会社になると、全社員のパフォーマンスを把握するのは難しいかと思いますが、
経営層が各業務のキーパーソンを知っておくことは大切なことです。
ぜひ日頃からアンテナを張っておくことをオススメします。
【まとめ】
「成功の定義」は、経営者および経営層の思いが詰まったものである必要があります。
闇雲に時間を費やす必要はありませんが、ちゃんとステップを踏んで検討をすべきです。
もちろん、意思決定のステップを伴走してもらうことも含めて、コンサルタントに発注をするのも良いかと思います。
ただし、その場合も意思決定をするのは発注者であることは忘れないでください。
関連サービス
手前味噌になりますが、上記のようなサービスメニューで、
弊社は成功の定義から実行支援までトータルでサポートすることができます。
ご相談内容が、システムコンサルティングやITコンサルティングの範囲かどうかなどは気にせず、
気軽にお声をかけていただければと思います。
2019年07月09日 (火)
青山システムコンサルティング株式会社