コラムカテゴリー:ITコンサルティング, プロジェクトマネジメント
私はPMOとしてプロジェクト支援をおこなうことが多いのですが、多くのプロジェクトでは常に何かしらの問題が発生しています。
日々の小さな問題から、プロジェクトの成功を左右するような大きな問題まで、様々な問題がありますが、いざ問題を解決しようとするとなかなか良い案が見つからないということがあります。
なぜなら問題というものは様々な要因が絡んでいる場合が多く、そのままの状態で解決を図ろうとしても、思考停止や思考のループ、検討漏れが発生しやすく、有効な解決策を導きだすことが難しいためです。
有効な解決策を導くためには、問題を要素ごとに分解する事がおすすめです。
複雑な問題も構成する要素で分解することで、要素単位では解決策を講じる難易度が下がり、解決策を導きだしやすくなります。
例として、会議の調整で発生した問題を使ってご説明いたします。
■この問題にどのような解決策を提案しますか?
毎月開催している定例会があります。会議の前日に参加者の一人から、会議に参加できないという連絡が入りました。
こんな時どのような解決策を提案したらよいでしょうか。
過去に同様の状態で流会となったことがあった場合、会議のファシリテーター経験が少ない方や、今回も流会で良いと短絡的に考えてしまう方は「今回の定例会はスキップしましょう」という解決策を提案するかもしれません。
本当にそれで大丈夫でしょうか。
要素分解にフォーカスするため、会議の目的と参加者の位置づけの前提は後で触れます。まずは前提がない状態で、この問題の解決策を考えてみたいと思います。
今回の解決すべき問題を「会議に参加できない人がいるが、実施するかどうか」と定義します。
定義した問題の文章を構成要素で分けると、「会議」「参加できない人」「実施するかどうか」に分解ができます。
「実施するかどうか」は解決策であり、「参加できない人」は分解できないので、「会議」をさらに要素に分解していきます。
今回は5Wのフレームワークを使用し、要素分解を行います。
すると、会議は以下の要素で構成されていることがわかります。
- いつ(when)…日時
- どこで(where)…場所
- だれが(who)…参加者
- 何を(what)…議題
- なぜ(why)…会議の目的
分解したうえで、要素ごとに解決策を考えていきます。今回は以下のように考えました。
- 日時:「別の日で実施する」
- 場所:「対面(会議室)」「リモート(テレビ会議/電話会議)」「場所無し(書面など)」
- 参加者:「参加者を絞って開催する」「ほかの人が対応する」
- 議題:「不参加の人がいなくても問題ない議題に絞って実施する」
- 目的:‐(目的を変更することはあまり現実的ではないため割愛)
このように要素別にすることで、前提にとらわれない解決策を考えることができます。あとは、状況に合わせて解決策を取捨選択し組み合わせることで、有効な解決策を導き出すことができます。
ここで、後で触れると申し上げた前提にフォーカスを移します。具体的には何をするのかというと、会議の目的と欠席者の位置づけをパターンごとに定義して、それぞれの解決策の案を考えてみます。
前提:PMの合意を得るための会議で、不参加の人はPM(休暇)
案①リスケする。
案②書面で合意できるのであれば、資料をメール送付し合意する。
前提:チームごとの進捗を確認する場で、チームリーダーが不在(休暇)
案①ほかの人(チームメンバーなど)が代わりに対応する。
案②会議は実施するが、別の日に確認者とリーダーの個別会議を行う。
前提:関係者への周知を目的とした会議で、関係者の一人が不在(休暇)
案①その人には書面対応とし、会議は実施する。
案②関係者と同じチームの方を招集し、会議は実施する。不参加の人には参加いただいた方から連携していただく。
など
このように考えた解決策であれば、検討に抜け漏れなく、かつ論理的に説明が可能なため、関係者からの合意も得られやすいと思います。
■おわりに
今回は会議調整で発生する問題を例に解決策の立案方法をご説明しましたが、
私が過去に参画したプロジェクトでは、「あるチームの進捗が悪いから何とかできませんか」というご相談を受け、PMBOKをフレームとして状況の分析、要素の分解を行い、解決策を立案・実行し、進捗の遅れを取り戻すことに成功しました。
単純な要素分解だけでは、解決にたどり着けない問題も多々存在します。ですが、要素を分解して解決策を導き出すというプロセスはどのような問題にも有効であると考えています。
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2019年12月15日 (日)
青山システムコンサルティング株式会社