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 5月下旬に国民一人一人に番号を割り振って、所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を一つの番号で管理するマイナンバー法案 が参議院で可決されました。

 IT業界には特需が見込まれ、総額一兆円の一過性の市場が生まれるとも言われています。
 しかし、エンドユーザである私たち一人一人に具体的にどのようなサービスが提供されるのでしょう。

 さまざまな要因によって生活のなかでほぼ利用されていない住基ネットの二の舞にはならないことを望みますが、「事務で利用」が前提となっているため、本当に我々の日常で利用価値のあるシステムが構築されるのでしょうか。
 結果、費用(税金)ばかりかかり、利便性が向上せず、場合によってはさらに予定以上の税金の投入が必要になってしまうことを危惧しています。

 そして、新たなシステムを稼働させるということは、新たな保守費用が生まれます。そして、開発時(稼働時)には想定できない付随される費用が必ず発生します。だからこそTCO削減が叫ばれ、一種の市場になっているのです。予算350億のシステムを開発・稼働すると、その後の5年間の運用で、同等の費用(システム保守費・追加開発費・ハード強化費等)がかかることが見受けられます。是非、保守費用まで視野にいれた詳細設計を行い、今後のシステム拡張に対して、柔軟で安価に対応できるシステムが構築されることを期待しています。

 今回のマイナンバーの主な利用範囲は
 ・社会保障分野(年金分野/労働分野/福祉・医療・その他分野)
 ・税分野
 ・災害対策分野
に大きく分かれています。
 個人的には残念ですが、今回のマイナンバー法案には「特に機微性 の高い医療情報等」は含まれていません。レセプト(診療報酬明細書)情報、病名情報、血液検査結果情報やレントゲン写真等は 機微性が高いと判断され利用範囲から外されています。災害時や個別の緊急時の医療情報の連携ができないことになります。

 基幹システムの設計担当の方や開発担当には、是非よりよいシステムを構築して、安全・安心な社会に利便性を加えて、より一層住みやすい日本の一端を担う意識でお仕事をしていただきたいです。税金の無駄使いとならないようにしていただきたいです。そして、セキュリティの高いシステムを構築していただき、「 機微性の高い」情報も安心して取り扱えるサービスをわれわれ国民に提供されることを望みます。

 日経コンピュータの「動かないシステム」に特集が組まれないよう、そして「利用されないコンピュータ」というレッテルが張られないようなシステム構築ができるよう一国民として応援していきたいものです。

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2013年06月24日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

嶋田秀光