だからその“分析(BI)プロジェクト”は失敗する(3/3) | 青山システムコンサルティング株式会社

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分析(BI)システム導入をご検討される企業様向けに、“プロジェクトが失敗する原因とその注意点”を9つ提唱しているコラムです。連載最後となる今号は、システム開発の観点とは少し異なる以下7.~9.についてご説明いたします。

(過去コラム)
だからその“分析(BI)プロジェクト”は失敗する(1/3)
だからその“分析(BI)プロジェクト”は失敗する(2/3)

  1. 分析を行う“目的”を深堀りしましたか?
  2. 分析に必要なデータ材料が揃っていますか?データ同士が繋がりますか?
  3. 成果を定量的に測定できますか?
  4. レスポンス目標を立てましたか?
  5. データの“サイジング”を実施しましたか?
  6. OLAPキューブ(多次元分析)の構築は適切ですか?
  7. BIツール・開発ベンダーの選定は適切ですか?
  8. いつも作っているその帳票、目的は何ですか?
  9. 企業内で “分析業務”を認める風土、活かす風土を形成できますか?

7.BIツール・開発ベンダーの選定は適切ですか?

一言でBIツールと言っても、世の中には様々なツールと、それを得意とする複数の開発ベンダーが存在します。BIツールの中にも、目的別に得意不得意があるため、定義した目的に合わせてツールを選定する必要があります。
また、実際にシステム開発を担当するリーダーやメンバーの「導入実績」や「製品知識」も重要な選定指標となります。BIツール自体はどれも優秀なものが多く、細かな機能・設定を多く実装しています。しかし、意思決定権を持つベンダー側開発リーダーやプロジェクトマネージャに製品知識が不足していると、誤った判断をされる可能性があり、「できる/できない」のジャッジに時間を要する場合もあります。

BIツール・ベンダー選定の際は、ツール自体の機能比較だけでなく、実務担当者の実績や力量も加味して選定するとよいでしょう。

8.いつも作っているその帳票、目的は何ですか?

分析(BI)ツールを導入する際に起こりがちな議論として、「既存帳票の再現」があります。
導入初期からシステムを完璧に活用するのは難しく、今ある既存帳票を再現するところからスタートするのは間違っていません。しかし、例えば既存帳票が100種あり、それをそのまま100種再現するために費用を割くことは得策でしょうか。そもそもの帳票の目的を再確認し、目的別に帳票をまとめていくと、実際は100種類も必要ないということがわかるはずです。

また、現場で“特に声の大きい方”の意見が採用され、“特殊なレポートまで必要以上にシステム化してしまいがち”な点にも注意が必要です。なぜそのレポートが必要なのかを深堀し、現状のレポート作成時間も調査することで、トータルでの費用対効果を検証しましょう。

分析(BI)システムの導入の際は、目的別に既存帳票を整理した後、「同じ目的の帳票ならまとめる」「効果の望めない、定例的に出力するだけの帳票なら廃止する」などし、“ブラッシュアップ”させることをお勧めします。

9.企業内で “分析業務”を認める風土、活かす風土を形成できますか?

1.~8.にて、より良い分析(BI)システム導入のための注意点を整理しましたが、最もネックとなるのが「企業内の風土」です。
分析業務を“IT”の一業務として捉え、システム部門に分析を任せる企業様をよく見かけます。しかし、多くの企業内で“風当たり”の厳しいシステム部門。今までと変わらぬ環境下で分析を行ったところで、発信された情報が社内の意思決定に使われることは少なく、“単なる参考情報”として終わってしまいがちです。

この点が、分析を生かし切れない日本企業の間違いであると筆者は認識しており、分析の必要性や与えるべき権限について、社内で再定義する必要があると思っています。

日経情報ストラテジー「IT投資とIT経営推進責任者に関する実態調査2013」によると、アンケートに回答した219社のうち53%が、“2013年度はIT予算額を増加した”という調査結果があります。分析に特化した部門をすぐに新設するのが難しい場合、IT部門とマーケティング部門を統合させ、データ分析を経営に活かす策を見出した企業もあるようです。

上記のように、一部の企業では“分析”を経営に活かす活動が具体化されてきています。分析が注目され始めた今こそ、社内の意思決定のあり方について、今一度見直すべきではないでしょうか。

終わりに

全3回に渡りお送りしました本コラムですが、分析(BI)システム構築を成功に導くためには、“少なくとも9つもの注意点がある”ということは伝わりましたでしょうか。
1号目のコラムからお読みいただいた皆様なら、「とりあえず入れてみよう」などとスタートしたプロジェクトが当然のように失敗する理由、お分かりいただけたかと思います。

これから分析(BI)システムの導入を検討される企業様に、本コラムの内容が少しでもご参考になれば幸いです。

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2013年10月01日 (火)

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