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~事実なきは砂上の楼閣~
コンサルティングの基本中の基本に「Fact Finding」という言葉があります。「事実を把握せよ」と理解してください。一般的にシステムコンサルティングは経験やノウハウ、発想力といった個人のスキルに依存する割合がかなり高いと考えられているようです。

それではコンサルティングというのは経験やノウハウ、発想力がすべてでしょうか?

 少し内容が技術的なものになりますが、ここに一つの事例を示します。

[事例]
あるクライアントにおいて、システムの応答時間が遅く使いものになら ないとクレームが殺到している。そこでヒアリングにより、関係者から以下のような情報を得た。

○利用部門
「毎日、16時から17時ごろまでが最もひどく、場合によっては10分も端末から応答が返ってこないことがある。最近発注が急増した訳でもないのに一体どうなっているんだろう。」

○システム担当
「もともと、プログラムの作りが稚拙でパフォーマンスが悪かった。プログラムを根本的に作り変えるしかないようだ。」

○ベンダーSE
「最近、このサーバーに接続されるクライアントの台数が300台を越えたと聞いている。ネットワークのトラフィックがあがったようだ。プログラムは問題無いと認識している。」

これらの状況からして、皆さんは何を改善提案するでしょうか。サーバーのメモリー増強でしょうか、ネットワーク回線のスピードアップでしょうか?

調査の結果は、メモリー不足によるキャッシュヒット率の低下でもなく、ログインユーザ数の増加でもなく、データベースロックの頻発でした。

プログラムに過去データの参照機能を追加してリリースしたところ、過去全期間について参照するユーザが多く、お互いにデータベースのロックが頻発していたのです。これは、照会するための参照期間を最大1ヶ月とすることで解決しました。

上記は、S社での事例ですが、このように事実がわかってしまえば何でもないようなことも、予想や推定で議論したところで何も解決策は出てこないということです。

いくらコンサルティングの内容が理路整然としており、すばらしいものであっても、その前提となる事実を誤認していては、立派なプランも砂上の楼閣となってしまいます。
したがって、コンサルティングの第一歩はまず、事実を把握することから始ります。皆さんはこれを銘記しておいてください。

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2009年08月01日 (土)

青山システムコンサルティング株式会社

谷垣 康弘(元会長)