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「そのシステム、いつまで使えますか?」
「そのシステム、いつまで使うつもりですか?」

 そんな質問をされた時、皆さまは即答できますか?

 おそらく、以下のように回答する人が多いのではないでしょうか。

・急にそんなこと言われても・・・。
・保守が切れる、○年後まで使う。
・しばらくは使い続けるが、明確には決まっていない。

 システムをいつまで使うのか・使えるのか、を適切に管理していくこと(※)は重要であるにも関わらず、十分な管理が出来ていないのが多くの企業における実態です。
※以後「システムライフサイクル管理」とします

 今回は、システムライフサイクル管理の実態、改善ポイントについて、解説します。

【システムライフサイクル管理の実態】

(1) 管理できていないことにより発生する問題
システムライフサイクルが管理できていないと、実際にどのような問題が発生するのでしょうか。
例えば・・・

  • 基幹システムが老朽化し、ベンダーが保守契約を締結してくれなくなってしまった。結果として、法制度への対応ができない、不正データの修正ができないといった状況になってしまった。その後、急いで基幹システムをリプレースする必要に迫られ、経営計画外で1億円もの出費が発生することになった。
  • サーバーの保守期限を把握できていなかったため、保守契約なしでサーバーを稼働させざるを得なくなってしまった。その直後にサーバーが故障して動作しなくなり、大切なデータが復旧不能になってしまった。
  • PCの買い替えの際に、OSをバージョンアップした。その結果、利用していたアプリケーションシステムが動作しなくなってしまった。

このように、企業の存亡にも関わる、大きな問題が発生する可能性があります。実際に上述のような問題のご経験者も多いのではないでしょうか。

(2) なぜ管理できていないのか
 そもそも、なぜシステムライフサイクル管理ができていないのでしょうか。
「システムライフサイクル管理の重要さを理解していない」
ことが、最大の理由といえます。システムライフサイクル管理が本来は非常に重要である理由については、上記(1)にも解説したとおりです。

 また、システムライフサイクル管理が重要であることを理解していても、なかなか管理ができていないのが実態です。なかなか管理ができない理由は、以下のとおりです。

  • システム導入時に、いつまで使うかを決めていない。
  • システムの動作に必要なアプリケーションやハードウェア、ミドルウェアなどの構成要素が、それぞれいつまでサポートされるかを把握していない。

 このように、重要であることを意識していなかったり、管理するルールが整備されていないために、システムライフサイクル管理ができていないこが多いといえます。

【システムライフサイクル管理の改善ポイント】

(1) システム導入時に検討しておく
 どんなシステムを導入する際にも、そのシステムをいつまで使うつもりなのか、検討・想定しておくべきです。その検討のポイントは、以下のとおりです。

  • いつまでそのシステムを使うのか。(または、永久に利用し続けるのか)
  • そのシステムのライフサイクルを考える際に、キーとなる構成要素を正確に把握する。
  • ライフサイクルのキーとなる構成要素について、ベンダーがいつまでサポートしてくれるのかを把握する。
  • システムを利用するクライアントPC側のOSやブラウザとの整合性を把握する。

(2) 定期的に見直す
 システムライフサイクル管理は、システム導入時だけではなく、定期的に見直す必要があります。その理由は、以下のとおりです。

  • システム導入時には、そのシステムを構成する要素が、それぞれいつまでベンダーのサポートが受けられるかが不明な場合がある。
  • ベンダーのサポート期限が延長される場合もある。
  • システム導入時に決めた利用期限の予定が変更になる可能性がある。

 以上、システムライフサイクル管理について、その実態・問題点や改善ポイントを解説してきました。

 近年、ほとんどの企業においてオープン・プラットフォームでシステムが導入され、システムの数・システムを構成する要素は増大の一途を辿っています。システムライフサイクル管理は、ITシステムの運営において、ますます重要になってきます。貴社においても、あらためて
「利用中のシステムは本当にいつまで利用できるのか?」
について、もう一度ご確認してみてはいかがでしょうか。

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2011年08月01日 (月)

青山システムコンサルティング株式会社

野口浩之