リモートワーク対応からDXを始めて良いの?

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リモートワークをする機会も増えましたが、この環境を整える取り組みは、DXに含まれるんですか?

単純に、リモートワークの環境を構築するだけなら、DXには含まれない。というのが、私の見解かな。

単純に・・・ということは、

ビジョンやWill Beモデルが先に策定されていて、その一部としてリモートワークの環境を構築するのであれば、DXってことですよね。

そういうこと。段々と成長してきた感じがするね。

でも、「必要緊急」に迫られて、ビジョンの策定よりも、とにかくリモートワークの環境を構築したいケースもありますよね。

そういうときは、DXの設計思想と合わせて、マイクロサービスアーキテクチャ(ビジネス機能に沿った複数の小さいサービスが、疎結合の集合体として構成されている状態)を意識した構成で構築すると良いよ。

つまり、ビジョンやシステムのグランドデザインを描いたあとに、正式な移行をする前提にする。ということですね。

多くの場合は、正式な移行が発生しないけれども、それができる構成にしておくと、万が一のときに柔軟な対応ができるよね。

ちなみに、各社が「必要緊急」で構築しているのは、どういったシステムになるのでしょうか?

いわゆるコミュニケーション系から導入する企業が多いかな。
「グループウェア」「Web会議」「ビジネスチャット」というカテゴリー。次点では、「オンラインストレージ」「ワークフロー」といったところ。

元々、社内で遂行することが前提になっていた、バックオフィス業務は難しいのでしょうか。
紙の請求書とか、押印が必要な書類とか。オフィスに出勤しなければならない理由の一つになっていますが。

もちろん、できないことはないけど、バックオフィス業務は、既に構築されている基幹システムや社内のルール次第で難しいケースもある。

ただし、条件付きのフローを切り出してリモートワーク対応するからを検討してみるのは良いと思う。

例えば、どんな感じにするんですか?

そ、そうだなぁ。そしたら、 常識に捉われていたら難しい事例を1つ。
個人経費精算の総額が少額であることが前提になるけど。

精算金額が一定以下の場合には、ビジネスチャットで上長承認を得た上であれば、半年に一回の精算を可とする。

という運用ルールにするのは、電子帳簿保存法に対応して、経費精算を完全なリモートワークを可能にするよりも、グッとハードルが下がる。
半年に一度の月以外は、高額の経費精算だけになるので、オフィスに出勤しなければならない日数の削減を期待できる。

月末月初の数日間は、オフィスに出勤している経理担当の方ってホント多いです。その日数が短くなるだけでも少し楽になりますし、経費精算の申請する人も、申請のためだけにオフィスに行かなくて良いのは大きな効果を見込めますね。

今までは、他にもオフィスに行く用事があったけど、リモートワーク環境があれば、経費精算以外は特に必要ない。っていう社員が大半を占める企業は、けっこう多いんだよね。

営業の方々とか、社外で活動する前提で働いていると、そうなりますよね。

ちなみに、検討する順番というか、優先順位みたいなものってあるんですか?

どんなことでも同じだけど、「すぐに導入できて、効果が高いもの」が優先だよね。

社外とのルール調整は時間がかかることが多いけど、社内ルールの調整は比較的やりやすいので、検討する価値が高いと思う。

なるほど。
一足飛びで完全なリモートワークを実現するのではなく、不完全でも可能なところから着手するのが重要なんですね。

特に中堅・中小企業であれば、条件付きのフローを社内で運用するのが比較的難しくないので、システム導入を前提にせず、柔軟に検討するのが良いと思うよ。

そういった経費精算の対応をしている状態であれば、後からDXの一環でグランドデザインを描くことで、基幹システムおよびワークフローシステム、そして電子帳簿保存法の対応方針と整合性が取れた経費精算システムを導入できますね。

もちろん、条件付きのフローだけSaaSのワークフローを構築してしまうのも良いよ。そのあたりの細かい選択肢は、会社ごとの事情次第かな。

SaaSで構築するのも、DXの思想と合っていますね。

意外と柔軟に取り組めるので、リモートワーク環境の構築を足がかりに、DXの検討をするのも良いかも。

実際に、そういう企業は多いよ。

わかりやすいニーズと成果があるのは、プロジェクトを推進していく上で、必ず背中を押してくれるから、アプローチの1つとして良いんじゃないかな。

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2020年05月12日 (火)